隣に、お前が居て、静かに眠っていて。
俺はその姿をジッと見つめている。

俺は、ホーンテイルを抱いた。

愛している、と言われたから。

迷うことも憤ることも泣き叫ぶことも
全て投げ捨てて、俺はその言葉に甘えた。
・・・気持ちよかった
たぶん、今までの中で一番。
俺はそっとホーンテイルの髪を梳かす。
綺麗だ、と思った。
こんなにも簡単なことだったんだな・・・
たった一言、それさえ言えば済む話だった。
それなのに俺は最初から無理なんだと
勝手に決め付けて・・・ホーンテイルも
どうやら同じことを考えていたらしいけど。
最初から俺たちは思いあっていたのだ。
けど、今までの「友達」という関係があった
為に「恋」を伝えることが出来なくなっていた。
二人とも同じことで悩んでいたわけだ。
俺はクスリと笑い、緩やかな眠りについていった。















悪い夢でも 見てるの?

あたし、ジャクムとしたの?
ジャクムに抱かれたの?あたしには
ビシャスが居るのに?あいつを裏切って
ジャクムに抱かれたの?そりゃあたしが
本当に好きなのはジャクムだけど・・・
だからって、ビシャスを裏切って良いわけ
ないじゃない・・・!なにやってんの
あたし?!どうしてこんなことになったの?!

嘘でもいい、嘘でも良いの  一度だけ、好きだと言って。

ああ・・・そうだ、あたしはずっと求めてた。
嘘でもいいからジャクムに愛されることを。
ジャクムはあたしを愛してくれていた。
でも、遅すぎた・・・あたしはもう・・・

もう、彼を愛してはいけない。

愛する資格は 無い

忘れたはずだったのに、捨てたはずだったのに。
あたしはジャクムじゃなく、ビシャスを愛すると
そう決めたはずなのに・・・心の迷いに
打ち勝てずに、あたしはジャクムに抱かれた。

終わったはずの「恋」に、手を伸ばした。

許されない、駄目、あたしとジャクムは
ただの友達・・・それ以上になったら
いけない、あたしの恋人はビシャス。
この「恋」は、忘れなければならない禁忌。

「ごめんね、ジャクム。」

私の勝手な迷いに、あんたを巻き込んで
しまった。あんたはあたしを純粋に愛して
くれていたのに、あたしはその思いをもう
受け取ることが出来ない・・・ううん
受け取ってはいけない。あたしは二度と
ジャクムに近づくことさえしてはいけない。

これ以上、傷つけてはならない。

あたしはビシャスを愛している。
ジャクムへの思いは終わったこと。
手を伸ばしてはいけない思い・・・

アイツは友達・・・ただの友達 それ以上でもそれ以下でもない。

それ以上にも、それ以下にもけして
なってはいけない・・・・・・ずっと
そう思っていたけど、あたしはもう
取り返しの付かないことをしてしまった。
ビシャスの思いを裏切って、ジャクムの
思いを利用して、二人を傷つけてしまった。
取り返しが付かない・・・・・ならもう
二度と修復できないぐらいに壊すしかない。

あたしは、今までの全てを壊す。

友達だった日々も、共に歩んだ道も。
手を繋いで飛び交った大空さえも。

全部、無かったコトにする。

それが、あたしに出来る唯一の償い。
それが、あたしがしてしまった罪への罰。
それがあたしが背負う十字架・・・



さよなら 愛しい人よ



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